健康科学大学 村松研究室

研究テーマ

古くて新しい糖尿病の運動障害の病態生理に挑む

糖尿病神経障害と運動障害の古典的な考え方

 糖尿病の代表的な合併症の一つに糖尿病性神経障害(以下,DPN)が挙げられます,DPNは糖尿病に関連して生じる多発性の神経炎で四肢の末梢に優位な感覚障害や自律神経障害を生じます.しかし,不思議なことに感覚障害を生じた四肢の末端部の筋力は長期間にわたって維持されるため,運動神経系に限ってDPNによって障害を受けにくい神経であると考えられてきました.

イントロ

糖尿病の運動障害の新たなパラダイム

 村松研究室の主要な研究テーマはDPNによる運動神経系の障害について神経生理・解剖学的な立場から解析をしようとするものです.先に述べたましたように,長年にわたって運動神経系はDPNに対して強い耐性を持つと考えられてきました.しかし,私達の最近の研究によってDPNと運動障害の関係について,全く新しい解釈ができるようになりました.私達は糖尿病モデル動物を用いて,運動神経細胞の変性に関する詳細な研究を行った結果,糖尿病の極初期から運動神経細胞も重篤な障害を受けていることが判明したのです.さらに,DPNによって重篤な障害を受けるのは主に小型の運動神経細胞,特にγ(ガンマ)運動ニューロンと呼ばれる運動神経細胞である可能性が高いこともわかりました.γ運動ニューロンは筋力に直接関与しないが,運動の滑らかさなどに関与すると考えられている運動神経細胞です.長い間,筋力が低下しないため運動神経細胞はDPNに強い耐性を持つと考えられてきましたが,DPNの初期にはγ運動神経細胞が脱落するために,”筋力の低下”という形では運動神経細胞が障害された症状が見えにくかっただけなのかもしれません.

概略

糖尿病の新しいリハビリテーション確立へ

 以前からDPNを発症した糖尿病患者は筋力は比較的保たれているものの,バランス能力が低かったり,転びやすかったりすること等が知られていました.現時点では推測の域を出ませんが,私達が発見した小型の運動神経細胞の脱落が,これらの運動障害に関与している可能性があります.我々は,この古くて新しいDPNによる運動障害の病態生理について,より詳細な解析を加え,DPNに起因する運動神経細胞障害の治療や予防に関するリハビリテーション技術の確立を目的として研究を行っています.

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